老人ホームなどの介護施設の探し方と注意点

高齢者になって介護の必要性を感じたら、老人ホームなどの介護施設の利用を考えなければなりません。自宅で訪問介護サービスを受けるという選択肢もありますが、一人暮らしの高齢者などは介護施設への入居を希望することが多いでしょう。

介護施設に入るためには、要介護認定など様々な手続きが必要です。ここでは、介護施設の選び方や入居手続きについて解説します。

老人ホームで実施されたイベントの一例

要介護認定を受ける

介護施設に入居して介護保険適用サービスを受けるためには、要介護認定を受けなければなりません。もちろん、要介護認定を受けなくても入居できる有料老人ホームなどはありますが、公的支援制度を利用できないと私的負担が大きくなってしまいます。

要介護認定を受ければ、要介護度に応じた介護保険サービスを利用できます。要介護認定を申請する場合は、まず自分の住所がある市区町村の役所に赴き、福祉窓口に相談しましょう。アクセスが良ければ、地域包括支援センターに相談する方法もあります。

地域の民生委員も相談に乗ってくれるでしょう。相談窓口でケアマネジャーを紹介してもらうと、ケアマネジャーが要介護認定のサポートをしてくれます。個人の申請通りの要介護度が行政機関に認められるとは限らないため、ケアマネジャーのような福祉サービスの専門家が支援してくれると期待する結果が得られることがあります。

要介護認定には、要支援1・2と要介護1〜5という区分があり、要支援1が最も軽く、要介護5が最も重度とされています。要支援1なら部分的な介護予防サービスがあれば日常生活に不自由しませんが、要介護5になると自力で起き上がれず、ほとんど寝たきり状態と言えるでしょう。

介護施設をネットで探す

要介護認定を受けたら、自分の要介護度に適した介護施設を探します。施設によっては、要介護度が3以上などある程度重い要介護者を優先して受け入れる一方、逆に要支援者や要介護1程度の軽度の高齢者しか受け入れない施設も存在します。

ネット上にはたくさんの介護施設がアップされているため、まず自分の希望条件に合った施設をピックアップしましょう。できるだけたくさんの候補を挙げ、見学に値するものを絞り込んでいきます。介護施設と言っても老人ホームだけでなく、グループホームやサービス付き高齢者向け住宅など様々なタイプがあります。

どのタイプが最適なのか見当を付けておかなければなりません。入居したら住処として利用する施設ばかりでなく、デイサービスのように昼間だけ利用できる通所施設もあります。入居希望の介護施設の種類を大体定めたら、まずアクセスの良い施設を選ぶのがおすすめです。

いくら環境が良くても、あまり自宅から遠いと家族の面会が難しくなり、いざという時に駆けつけられないでしょう。自家用車があれば、車のアクセスだけ考えれば問題ありませんが、自家用車が無い家庭は公共交通機関やタクシーの利便性も検討が必要です。

介護施設の選定の際は、面会の頻度を考慮することが欠かせないと言えます。次に、利用者の収容人数とスタッフの数をチェックします。高齢者自身の好みを考え、大規模施設と小規模施設のどちらが適しているか判断しましょう。

施設見学に行く

見学に値する施設をいくつか絞り込んだら、見学の予約をします。見学の時間帯はいつでも良いと言うわけではなく、できれば大半の入居者が揃ってイベントを楽しんでいる時間帯が好ましいです。入居者の雰囲気やスタッフの接し方を観察できるからです。

入居者が楽しそうに過ごしているか、またスタッフがこまめに声かけして気を配っているかといった点を確認しましょう。それから、設備の充実度も重要です。エアコンが異音を立てていたり、給湯設備が古びていたりする施設は経営にゆとりがなく、あまりおすすめできません。

可能なら入居者の介護に必要な設備が整っているかスタッフに尋ねましょう。スタッフが設備面を意識しているかどうかもわかります。さらに、エントランス・ホール・階段といった箇所の清掃が行き届いているかという点も重要なポイントです。

清掃を欠かさず、清潔感のある施設がより望ましいでしょう。

体験入居してみる

見学して気に入った施設があったら、体験入居を申し込みましょう。体験入居すれば、見学の時に見えなかった面も明確になります。体験入居は有料の施設が多いですが、格安の料金で利用できるので、入居を決める前に必ず体験入居しておくことをおすすめします。

体験入居では食事を吟味し、カフェや休憩室などの付帯施設を利用するだけでなく、イベントを通じて他の入居者とも交流できます。他の入居者から施設について情報をもらえると、とても参考になるでしょう。可能なら1泊だけでなく数泊すると、一層理解が深まります。

スタッフとも積極的に話をすれば、現場の雰囲気がよくわかるでしょう。体験入居して部屋の使い勝手を試すことも大切ですが、部屋の外に出て施設内に居る人たちと接することが主目的と言っても過言ではありません。

介護施設入居にかかる費用

介護施設の選定に当たって、最も気になるのは利用料でしょう。特別養護老人ホームといった公的施設の利用料は、介護保険適用によりかなりカバーされるものの、入居希望者が多く、よほど重度の要介護者でない限りなかなか入れません。

比較的入居しやすい有料老人ホームは入居金や月額料金が高く、入居者の負担が大きいのが普通です。入居時に支払う入居金は、入居期間の長短に応じて返金される施設が多いですが、最初に何百万から何千万という高額の入居金を支払うのは一般市民にとって容易ではありません。

そのため、入居金を撤廃する介護施設が増えてきました。それでも、月額料金が最低でも20万円から30万円ほどかかる有料老人ホームが少なくないため、国民年金だけではカバーできないケースが大半と言えるでしょう。

もっとも、グループホームやサービス付き高齢者向け住宅など利用者のタイプに合わせた介護施設には、リーズナブルな料金で利用できる所も少なくありません。

複数の介護施設について十分検討してから入居先を決めましょう

介護施設には様々な種類があり、個人に適した施設を探すには十分な検討が欠かせません。いろいろな施設の中から最適なものを見つけるのは大変です。地域包括支援センターや市区町村の役所にある福祉サービス窓口に相談し、まず要介護認定を受けましょう。

要介護認定を受けたら希望条件に沿う施設を探し、複数の施設の見学と体験入居を経てから入居先を決めましょう。

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